ジャケット着用の謎?

2016年5月28日 |

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レッスンには初めてゴルフをプレーされる方もいらっしゃいますが、そんな方達から「なんでゴルフ行く時にジャケット着なきゃいけないんですか?」と質問されることがあります。

確かに日本のゴルフ場では「クラブハウスはジャケット着用で入場してください。」と入り口に掲示があるコースも多く、理由を聞くと「決まりです」「紳士のスポーツですから」という『?』という返答が返ってくることが多いです。

ゴルフは世界中で行われていますが、なぜか日本固有のクラブハウスルールとして存在している「ジャケット着用」。
今回はゴルフの歴史的背景も考えながら、ジャケット着用の謎に迫ります(笑)jacket
あくまでも私の個人的な解釈と予測に基づいて書いておりますがご容赦ください(^^;

1.ゴルファーの歴史
スコットランドで牧童の暇つぶしから始まったと言われているゴルフですが、本格的なコースや道具が作られるようになった頃から産業革命以前のゴルフはとてもお金がかかるスポーツでした。
当時のゴルフボールはフェザーから作られており、その多くをオランダから輸入していていました。職人が1日仕事をして3個ほどしか作れず、ゴルフクラブも現在ほどの強度はなく、頻繁に折れていたために、プレーヤーは高価なボールやクラブを何個も持ち歩き、さらにその貴重なボールを探させたり、何本もの重いクラブの運搬役としてキャディを雇いました。
こうして高価な道具や消耗品、そしてプレーを補助するキャディの必要性から、お金に余裕のある貴族階級を中心に楽しまれるようになったというのが1700年代当時のゴルフと言われています。
またそうした貴族階級ともなると君主への接見機会も多く、彼らが宮廷儀礼(エチケット)を備えていた事が「ゴルフは紳士のスポーツ」と言われている所以です。

2.クラブハウスの歴史
そもそもクラブハウスというのはその名の通り「クラブ(倶楽部)」のメンバーが使う施設として作られました。
歴史上最も古い倶楽部はスコットランドのエジンバラで1744年に作られたと言われています。ゴルフは元々マッチプレーで楽しまれていましたから、その当時は相手が必要なスポーツだったんですね。
ゴルフの相手を探すを人たちが集まってコミュニティ(仲間)が生まれ、それがソサエティ(独自の慣習を持つグループ)になり、そのソサエティが倶楽部(会員制組織)に発展していったのです。”実は最初の倶楽部はフリーメイソンが会議をカモフラージュするために、ゴルフの競技会を行った事がきっかけ”というまことしやかな文献も残されています。
クラブハウスというのは、このように元来ゴルファー同士が交流を愉しむための館であり、メンバー以外は入場できないという非常に排他的な要素をもっているので、海外のコースではプレイヤーは「スターター」あるいは「プロショップ」でプレーの登録をして、メンバー以外はクラブハウスには入場しないケースも多いです。
日本は誰もが出入りできるレセプション(お迎えする場)として使われている場合が多いので、こうしたクラブハウスの用途の違いもジャケット着用に関係しているかもしれませんね。

3.服装の歴史
昔のゴルファーの写真を見たことがある方ならご存知だと思いますが、昔はジャケットを着てプレーをしていました。
それは、貴族階級が嗜むアウトドアスポーツ「乗馬」や「狩猟」の際に防寒や体の保護を目的にウールのジャケット着用していたことから、ゴルフでも同じ格好をしていたと言われています。またフィールドだけでなくプレー後の室内でも同じ格好で過ごしていたと言われているので、それがおそらく「クラブハウスではジャケット」を想起させていると考えられます。
しかし寒いスコットランドから、1888年に多様な気候を持つアメリカにゴルフが持ち込まれた際、ジャケットの代替品としてドレスコードが「ポロシャツ」になったと言われています。
これが「ゴルフ=ポロシャツ」の理由になっています。

4.現代の一般的なクラブハウスでのドレスコード
これまでの経緯から、おそらくグローバルではクラブハウスの中でも「ポロシャツ」がドレスコードという解釈が一般的ではないかと多いと思います。ですからジーンズやTシャツが相応しくないという点は同じ感覚です。
海外のクラブハウスでは歓談用のバーやラウンジ、メンバーシップのレストランなどがあり、そうした社交場で食事をする時にだけ、ジャケットに着替えるというのが一般的で、ロッカーはその際に必要なジャケットの保管用に使われているようです。
日本ではクラブハウスに出入りする際にジャケットを着て、プレーの合間にゴルフウェアでレストランを利用するので逆ですね(^^;

いかがでしたか?
こうした歴史や経緯から、おそらく日本のジャケット着用ルールは、旧来のゴルフ様式をクラブハウスの中だけに残した”日本独自のゴルフカルチャー”と捉えることができますね。
最近では一流コースでも外国人プレイヤーが多いところではジャケット着用を義務付けないコースが出てきたり、ゴルフの大衆化に伴ってドレスコードに関する掲示をやめるコースも増えてきたようですが、ゴルフに行く時には数百年前のゴルファーの姿や歴史を頭に浮かべながら、貴族流のお洒落を楽しむのも悪くないかもしれませんね(^^)

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この記事を書いたのは

大矢 隆司

大矢 隆司

1980年7月15日生まれ
15歳で単身オーストラアへゴルフ留学Hills Golf Academyで3年間ゴルフを学ぶ。
その後大学在学中にティーチングライセンスを取得しゴルフコーチとして仕事を始める。MBA(経営学修士)のキャリアも持つ異色のゴルフコーチ。
2005年にGEN-TENの設立。現在はディレクターとしてレッスンプログラム開発と組織運営を担当。趣味はゴルフ旅行(スコットランドトリップアメリカトリップ

ゴルフコーチ(USGTF)
メンタルフィットネストレーナー(NESTA)
ゴルフコンディショニングスペシャリスト(NESTA)
ゴルフフィットネストレーナー(JGFO)

Director’s note」を通じて私達が提供するゴルフコースレッスンというサービスについて1人でも多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです。
ゴルフ&ウェルネスツーリズム「The Golf Retreat」も主宰。
大矢隆司 公式ブログ(takashioya.com)

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