パッティングを上達するには?

2015年11月19日 |

Director's Note
「パッティングには法も,形もない」という諺をご存知でしょうか?
確かにトッププレイヤーを見ていても、ロングパターを使う人もいれば、握り方もリバースオーバーラッピングやクロスハンドなど様々。
スイング以上にそのスタイルに幅があり、パッティングのストロークは雲をつかむような感覚的なもので、まるで正解がないように感じます。

ではパターにはロジックが無いか?というとこれは話が別になります。
打ち方(style)は様々であっても、我々がレッスンの中でアドバイスしていることは、ある一定のロジックに基づいています。
今回はそのエッセンスを一緒に考えながら、パターを上達する方法を探っていきましょう。

それでは早速パッティングの要素を分解して見てみましょう。

ボールをカップインするためには「方向(Direction)」と「距離(Distance)」「予測(Reading)」という3つが合致しなくていけません。
カップまでピッタリの距離を打っても方向がカップから外れてしまっては入らないし、逆にカップに真っ直ぐ打てたとしても届かなかったり、強過ぎてもカップには入りません。
さらにグリーンには傾斜や芝目、状況によっては風や足跡も影響します。それらがボールに与える影響を読み取り曲がる幅や強弱を予測することが必要です。
ですからパッティングとは「方向」と「距離」と「予測」という3つの要素を合致させるという行為だということが分かります。
ではそれぞれの要素を構成する要因について掘り下げてみましょう。

■方向性(Direction)
まず方向に影響を与える要因は「①フェースの向き」「②クラブヘッドの軌道」「③ミートの位置」の3つです。
3つのうちもっとも影響を与えるのはインパクト時のフェースの向きで、これが方向の約90%を決定します。クラブの軌道やミート率はストロークの幅が大きくなるほどに方向への影響度が増しますが最大でも20%しか影響を与えないことがわかっています。ですから、パッティングの重要な要素のうち方向に関してはインパクト時のフェースの向きだけを注意すればいいことになります。

■距離感(Distance)
距離に影響を与える要素は「①ヘッドスピード」と「②ミート率」です。
パッティングにおいてのヘッドスピードとはストロークのテンポです。テンポが速いとヘッドの加速度は速くなります。試しに同じ振り幅で速いテンポと遅いテンポで打ってみます。振り幅が同じでもテンポが速い方がボールは遠くに転がります。よく「距離は振り幅で調整する」と言われますが、これはテンポが一定であるという前提に基づいています。ここはプロでも間違えやすいポイントなので「速さの公式」を使って考えてみましょう。

ボールが転がる距離=速さ(ヘッドスピード)=距離(ストローク幅)÷時間(テンポ)
ボールの転がる距離が長い=ヘッドスピード速い=ストローク幅長い÷テンポは一定
ボールの転がる距離が短い=ヘッドスピード遅い=ストローク幅短い÷テンポは一定

如何でしょうか?実際に公式に当てはめてみると分かりますが、除数となるテンポの方が転がる距離に与える影響は大きくなります。ですから正しくは「テンポが一定であれば振り幅で調整できる」という事です。
パッティングの距離のミスでよく言われる「緩み」はテンポが遅くなる事、逆の「パンチ」はテンポが速くなる事だという事も理解できますね。実際に我々がレッスンをしていても、距離をミスする原因はストロークの幅を間違えるケースよりも、ストロークのテンポが変わってしまうケースの方が圧倒的に多いです。
もう一つの要素であるミート率は芯に当たるかどうかです。芯とはヘッドが動く運動エネルギーが最大になる場所のことなので、当然芯に当たればボールは最大に転がり、芯を外せば転がりは弱くなります。これはショットも同じですね。

■予測(Reading)
予測はボールへの影響を考慮して決定されます。ボールがどのくらい影響を受けるか?はボールを打つ強さによって決まります。
強く打てば傾斜や芝目の影響は受けにくく、逆に弱く打てば影響は受けやすくなります。
ですから予測をする上で重要なことはどのくらいの強さで打つか?を先に決めることです。
例えば下りのスライスラインがあったとしましょう。下っているので普段よりも弱く打つのですが、これをカップをどれくらい過ぎるように打つか?を決めてからでないと曲がり幅が決まりません。カップの手前で止まるような強さで打つ場合と、カップを越える強さで打つ場合とで曲がる幅は大きく変わります。

■まとめ
まとめるとパッティングもショットと同じように、要素別の意図をもって練習することで上達ができます。
ただカップに入れる練習をしても、カップに入る時には3要素がすべて揃っているという事なので課題は見えてきませんが、方向性の練習、距離感の練習、予測の練習と、要素別に分けて練習すると成功に足りないものが見えてきます。
さらに苦手な要素に影響を与えている「要因」が分かれば簡単に修正や上達をする事も可能です。
実際にGEN-TENのコーチはパッティンググリーンや、コース内のグリーンを利用して要素別に練習するドリルを多く行いながら、その要因についてアドバイスする様子をよく見ます(^^)

如何でしたか?
正解がないように思えるパッティングですが、こうして冷静に考えてみると重要な要素は限られていることが分かります。
参考にしながら整理して上達にお役立てくださいm(_ _)m

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この記事を書いたのは

大矢 隆司

大矢 隆司

1980年7月15日生まれ
15歳で単身オーストラアへゴルフ留学Hills Golf Academyで3年間ゴルフを学ぶ。
その後大学在学中にティーチングライセンスを取得しゴルフコーチとして仕事を始める。MBA(経営学修士)のキャリアも持つ異色のゴルフコーチ。
2005年にGEN-TENの設立。現在はディレクターとしてレッスンプログラム開発と組織運営を担当。趣味はゴルフ旅行(スコットランドトリップアメリカトリップ

ゴルフコーチ(USGTF)
メンタルフィットネストレーナー(NESTA)
ゴルフコンディショニングスペシャリスト(NESTA)
ゴルフフィットネストレーナー(JGFO)

Director’s note」を通じて私達が提供するゴルフコースレッスンというサービスについて1人でも多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです。
ゴルフ&ウェルネスツーリズム「The Golf Retreat」も主宰。
大矢隆司 公式ブログ(takashioya.com)

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