現地のリズムに馴染ませる
大会の前の週にタイへ到着した。ここでは「どれだけ練習したか」よりも、「どう過ごすか」に重きをおいた。試合の準備は、ショットだけでなく、心と身体を整えることから始まるのだと思う。
到着初日から意識したのは、生活のリズムを現地時間に馴染ませること。朝は6時前の涼しい時間帯に動き、日差しが強くなると室内で過ごす。夜の10時ごろには眠りにつく“南国のスタイル”に。
フルーツと卵料理の豊富なタイでのホテルの朝食は、僕にとってありがたい内容だ。昼はパッタイを始め、シンプルなタイ料理を楽しんだ。
コース以外の静かな時間
良かったことや悪かったこと、ゴルフの内容を整理することは大事である。しかし、「どう感じたか」を僕は大事にしたかった。それが自分を整えるリトリートの時間になる。
ゴルフのことを考えても不安ばかりが募る。試合の戦略を立てるよりも、静かに心を落ち着けることを優先した。プールサイドで外の光を感じるだけで、余計な思考が消えていく。
試合への心構え。
大会が近づくにつれ、気持ちは少しずつ高ぶっていった。それでも、焦りや不安をコントロールしようとはしなかった。ヴァジム・ゼランドの言葉を借りれば、「現実は努力で押すものではなく、意図によって選ぶもの」。今回のQTも、結果を“掴み取る”のではなく、ただ“流れの中でベストを表現する”という感覚で臨みたいと思った。
目標はもちろんある。しかし、その手前にある一打一打を丁寧に感じ取りたい。そのためには、心を静かに保ち、身体を素直に動かすこと。それが今の自分にとっての最善の準備ではないかと思った。
試合に入る前のこの時間は、心と身体のチューニングを整える大切な時間だった。練習よりも、過ごし方そのものがプレーの質を左右する。この穏やかな時間が、自分の中にある“流れ”を整えてくれた気がする。
次回は「練習ラウンド編」を紹介したいと思います。