デイブ・ペルツ博士のスコアリングゲームスクール – 3

2020年7月15日 |

2018年8月24日に投稿した記事に加筆修正して再投稿しております。(2020年7月15日)

・2020年7月25日(土)20:00〜オンラインレッスン 「苦手意識よ、さようなら!ペルツ式アプローチショットのさらなるヒミツ」

最後はパットです。4種類のショットの中で、私はパットのレッスンが一番面白かったです。
2日目にパターのフィッティングをしてくれました。両目がボールの真上に来るようにパターのシャフトの長さとヘッドのライ角を調整します。自分に合ったパターを使えば、正しいところで構えて良いストロークができます。私は自分のパターのシャフトを2インチ切ってライ角を2°立てるように言われました。パッティングでも、バックスイングよりもフォローを大きく取ります(最大15%)。

従来、パッティングはスクリーンドアストローク(内側に引いて内側にフォローする)が正しいと言われていましたが、ペルツはこれに異を唱えました。曲線を描くストロークですとフェースがボールをスクエアに捉えるところが1点しかありません。目よりもパターヘッドが外側(体から遠いところ)にあるように構えると、スクリーンドアストロークになります。

そうではなくて、目の真下にボールを置き、肩から垂直に下ろした手でパターを吊るように構えれば、ヘッドは直線を描きます。これはインラインストロークと呼ばれます。フェースは常にターゲットを向いているので打ち出しは一定です。かつて、体の構造から言ってそんな打ち方は不可能だと反論したツアープロがいて、ペルツはそれが可能であることを証明するために、ヒト型パッティングマシーン、パーフィー(Purfy)を作りました。まさかコロラドでパーフィー君にお目にかかれるとは!

プリショットルーティンはどのショットでも大事ですが、パットのストロークでは特に「リチュアル」が大事だと教わりました。ラインを読んだり素振りをしたり、セットアップする前にする決まった動作をルーティンと呼び、セットアップしてからストロークを始めるまでの「何も考えないリズミカルな動き」をリチュアルと呼びます。フェースとスタンスを決めるまではスムーズなのに、そこで静止してストロークがなかなか始まらずに固まってしまうことがあります。こうなると体がこわばり、リズムが狂ってうまくパットすることができません。それを避けるために、セットしたらすぐにリチュアルを始めてボールを打ってしまうのだそうです。

例えば、グリップの上の右手の親指をタップする、カップを見る、ボールを見る、バックスイング、フォロー、を1−2−3−4−5、と心の中で数えます。パターを地面に置く、バックスイング、フォロー、の1−2−3、でもいいです。コーチは、グリーンで本当に口に出して1−2−3と言いながらパットするそうです。「初めて一緒にプレイする人はびっくりするけど、僕はパットを入れるから、誰もからかったりしないんだ」と言っていました。カップを越えるまで打つヒケツは、1より3を大きく言うことだそうです。クラスでもメトロノームでテンポを練習しましたが、♩=85〜102がチャンピオンズ・テンポだそうです。すごく速かったです!

ペルツはいろいろな練習ギアを作っています。3日間、私も持っているPutting TutorやPutting Clipsを使ったドリルをたくさん教わりました。

最終日のグリーンリーディング(ライン読み)のセッションでは、興味深い実験をやりました。傾斜のある3-4mのパットを想定し、ボールの曲がりを予測します。どこを狙って打つかを宣言して、ボールに向かって構え、実際にパットして結果を見ます。パッティングバイブルの本の中では、実際に1000人のアマチュアと500人のツアープロに聞いて、3mの左から右への下りラインの検証を行いました。強く打てば曲がりは少なくなるなど、スピードと狙い目の組み合わせによって、カップインするラインは無限にありますが、ペルツはカップを17インチ(約40cm)過ぎたところで止まるのが理想的な強さのパットだと定義しました。その理想的な強さでカップインするために狙うポイントを、True Break Pointと名付けました。

検証結果にプロでもアマでもそれほどの差はなく、みなTrue Break Pointの30%程度にしか曲がりを予測せず、でも構えるときは60−70%のところを狙い、ストロークを操作して90%ぐらいのところに打ち出すというのです。結果、大抵の場合はウィークサイドにパットを外すことが多いけれど、この一連のミスの偶然が重なった時にだけカップインしているのだと結論づけています。

スクールでは、右から左の傾斜のある4mの下りパットで実験をやりました。本を読んでこのカラクリを知っていたのにも関わらず、私もやっぱり少なめに予測し(80%)、でも大きめに構えて(110%)、ストロングサイドに外してしまいました。他の7人の生徒さんは本を読んでいなかったので、皆一様に20−30%に予測し、70−80%のところへ打ち出して、ウィークサイドに外しました。なぜ人は曲がりの30%にしか予測できないのか?細い雨どいを斜めにしたような、True Rollerというギアを使って、私たちもボールを転がして検証しました。実験をすると、答えはとても明白です。実際のボールの曲がりと狙うべきポイントの違いが分かると、パットの精度は格段に上がります。

毎日スクールが終わってからも居残り練習をして、疲れたらふもとの外のレストランでチキンサラダをつまみながらワイン片手に復習勉強。毎晩足がつりましたが(笑)、本当に充実した贅沢な3日間でした。

レッスンを終えて、あらためてスコアリングゲームスクールがすごいと思ったのは、すべてがシンプルで分かりやすい点です。バンカーショットとチップショットは同じスイングでしたし、ワールドクラスフィニッシュ、シンクロナイズドスイング、ゆるゆるのグリップなど、様々なショットに共通点が多くありました。変えるとしたら、なぜ変えるべきなのか、物理に基づいた明白な説明がありました。

スクールの間にも、コーチに何か教えてもらうたびに、シンプルすぎるので、”That’s it? Wouldn’t you change ball position or stance?”(それだけ?ボールポジションやスタンスは変えないんですか?)”No, that’s it!”(うん、変えない。それだけ!)というやり取りを何度繰り返したか…笑。

加えて、インストラクションだけでなく実際にボールを打つ時間が十分に取ってある3日間のスクールを選んで良かったと思いました。1、2日間のスクールもありましたが、説明が中心で、練習の時間が少なくビデオ解析もありません。本や雑誌を読んだだけでショットが完ぺきにマスター出来ることは難しいと思います。レッスンを受けて実際に打つところをコーチに見てもらい、ビデオを見て自分で確認し、体感しながら理解を深めていくことが、上達のための最良の方法だと思います。

コロラドを選んだ理由の1つは、同じ施設内にペルツの設計した9ホールのショートコースがあるからです。最終日は早く終わったので、復習をかねてラウンドさせてもらいました!アップダウンが激しく、ラフは深いし、ハザードが多くて難しかったです。景色は圧巻でした。

スクールでたくさんお土産をもらって帰って来ました。アメリカンサイズのキャップやマグカップ、家の中で打てるけれどスピンや打ち出しのパフォーマンスは実際のボールと同じ、というalmost ball、私のスイングをご覧になったペルツ大先生の所見の入ったUSBなどなど。ミシガンでは鏡の前でのフォームの確認と、コースでの落とし込みをやっています。積極的にラウンドをして、ピッチショットの、クラブとバックスイング別の飛距離を脳にフィードバックしています。バンカーショットは面白いように寄ります。寄せワンが増えれば、確実にスコアが良くなりますし、スコアがいいと、もっとゴルフが楽しくなりますよね。

また、2人のコーチに協力してもらってインタビューをしました。

・2020年7月25日(土)20:00〜オンラインレッスン 「苦手意識よ、さようなら!ペルツ式アプローチショットのさらなるヒミツ」

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この記事を書いたのは

野村 祥子

野村 祥子

皆さまいかがお過ごしですか?
12月から日本でレッスンを再開させていただきます。
コースでお会いできることを楽しみにしています。

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