ゴルフの練習で知っておきたい大切な事

2017年4月19日 |


私はレッスンを受講する方達に「どのくらい練習をしますか?」とよく質問をします。
すると多くの方が週に1回とか、月に2回とか、定期的に行っている方も多くいます。
次に「1回の練習でどのくらい打ちますか?」というと200球とか300球、多い方だと500球以上という方もいます。
不思議なことに練習で多くのボールを打っている人が上達しているかというとそうでもないようです(^^;

例えばスイングである動きやスキルを獲得しようと思った時、2時間同じ練習を繰り返し続けるのがいいのか、それとも休憩や他の練習も挟みながら分散的に行う方がいいのか、そして練習で上手く成果が出ない時にどういうことを意識すればいいのか、今回は運動学習という視点から練習で注意したいポイントを考えてみたいと思います。

以前に書いた記事も同時に読み合わせてみてください(^^)
ゴルフ練習のコツ→
ゴルフの上達法→
ゴルフ上達に効果的な練習とは?→

■スキル獲得の段階
練習といってもその意味は様々ですが、ここでは日常的に行う新しいスキルの獲得すなわち上達を目指して行うことと定義します。
そしてスキルの獲得は①認知→②統合→③自動化という3つの段階に分けられます。

まず認知の段階では、頭では理解やイメージができているが、意識した通りに体が動かないので失敗が多かったり、出来てもその運動スピードが遅かったり、スムーズさに欠けたりします。
ゴルフではアドバイスを受けた直後に何かギコチナイ動きになっていたり、体に硬さを感じたり、言われた通りにやっているつもりがボールに上手く当たらなかったりする段階です。この段階ではスッキリしない感じがして若干のストレスを伴い、これが長期間続くとスランプに陥る可能性もあります。

次の統合の段階になると意識と運動、部位の連動がスムーズにできるようになります。例えば腕の動きを指摘されて修正している場合でも、意識した動きと連動して肩や上半身、それに伴って腰や下半身の動きも連動して変わってきます。これらが噛み合ってくる状態が統合の状態です。この段階になってくると度々いい動きや結果が得られて練習意欲も上がってきます。

最後に無意識化(自動化)の段階です。私もよくレッスンで「”出来る”とは無意識でやっていること」という言葉を使いますが、この段階では意識しないでできるようになって他のこと、例えばターゲットや自分の心の状態にも意識を向けられたりします。ここまでくるとパフォーマンスが上がったと自分でも認識できます。

スキルを獲得することを練習の目的とした場合に重要なことは、まず自分が今どの段階で練習しているのかを把握すること、そして特に初期段階では失敗を許容することが重要です。
特に練習でため息が多い人や、ショゲてしまう人は、①の認知でうまくいっていないケースが多いです。
多くのボールを打ち続けるよりも、コーチとのミュニケーションや、休憩が足りていない場合が多いので、認知段階で長く足踏みしてしまう人は思い切って練習をやめて、理解に努めてみましょう。

■集中法と分散法
では、スキル獲得の過程ではどのように練習時間を配分をすれば良いでしょうか?

よくスイングのフォームを矯正する場面では、7番アイアンだけを1,2時間振り続けるような練習をする方が多いですが、そうした休憩を多く挟まず且つ同じ練習を繰り返す練習を集中法(集中学習)と呼ばれます。

それに対して、例えば練習を15分〜30分程度に分けて、休憩をこまめに入れたり、一定の時間や期間をあけながら練習する方法を分散法(分散学習)と呼ばれます。

私が留学していた時は後者の分散法のトレーニングが主流でしたが、日本に帰国してからは集中法のトレーニングが増えました。面白いことにトーナメントの会場で練習風景を見ていても、日本ではプロでも集中法を取りれているプロが多いように感じますが、海外のトーナメントではドライビングレンジとショートゲームを行ったり来たるするプロが多いのは興味深い光景です。

実際に運動科学や脳科学的には分散法の方がスキル獲得に効果が高いと言われています。
私の実体験やGEN-TENのレッスンの中でもやはり前者の分散型の方がパフォーマンスが上がりました。特に分散法の中でもランダム法という幾つかの練習を組み合わせて行う方法[(スイングの練習15分)→(アプローチの練習15分)→(パッティングの練習15分)→(休憩15分)→(スイングの練習15分)というように複数の課題を小刻みに変えていく練習]は限られた練習時間で集中して取り組めて効果的です。

しかし、休憩の重要性や分散法が効果的だとわかっていながらも、なぜ人は集中法に走ってしまうのか?という疑問も湧きます。
一つは忍耐や我慢が成功に結びつくという日本の風習も影響いていそうですが(^^;、おそらくもっとも多い原因は「時間」という概念でしょう。同じ2時間の練習であれば30分を4回に分けた方が効果的というのは頭では理解しつつも、集中法なら2時間で済むものが、分散法だと間に3回の休憩を20分ずつ入れるだけでも1時間余分にかかることになります。熱心な人ほど詰め込んでしまうので、この休憩時間や間を開けるということが必要という認識がまずは大切ということになりそうです。

■まとめ
以上の事から重要なことは3つです。

1.スキル獲得の過程では失敗を気にしない。失敗が長く続くようなら認知を疑い、コミュニケーションや思考の時間に充てる。
2.同じ練習を長時間続けるのではなく、休憩や他の練習を挟みながら繰り返し行う。
3.練習の内容や時間は休憩時間も含めて計画する。

いかがでしたか?
どちらかといえばシリアスなゴルファーに向けての内容になってしまいましたが、練習を苦しそうにしている人を見るとコーチとして「助けてあげたいっ!」ってなるので、何かのきっかけになればと思って書いてみました。
ゴルフは楽しくするのが一番です。練習もゴルフライフの一部ですから、できるだけ楽しく効果的に取り組んでいけるといいですね(^^)

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この記事を書いたのは

大矢 隆司

大矢 隆司

1980年7月15日生まれ
15歳で単身オーストラアへゴルフ留学Hills Golf Academyで3年間ゴルフを学ぶ。
その後大学在学中にティーチングライセンスを取得しゴルフコーチとして仕事を始める。MBA(経営学修士)のキャリアも持つ異色のゴルフコーチ。
2005年にGEN-TENの設立。現在はディレクターとしてレッスンプログラム開発と組織運営を担当。趣味はゴルフ旅行(スコットランドトリップアメリカトリップ

ゴルフコーチ(USGTF)
メンタルフィットネストレーナー(NESTA)
ゴルフコンディショニングスペシャリスト(NESTA)
ゴルフフィットネストレーナー(JGFO)

Director’s note」を通じて私達が提供するゴルフコースレッスンというサービスについて1人でも多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです。
ゴルフ&ウェルネスツーリズム「The Golf Retreat」も主宰。
大矢隆司 公式ブログ(takashioya.com)

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