ゴルフ規則の原点と、2019年のゴルフルール改定の目的は?

2018年1月27日 |


GEN-TENのレッスン中でもコースの中で「ゴルフルール」について質問されることがあります。
スターターキットにもルールブックが入っていますが、正直「書いてあることの意味が分からない…」という方も多いと思います(^^;
そこで、今回はゴルフルールの成り立ちや、2019年に予定されているルールの改定について少し書いてみたいと思います。

まずゴルフルールの歴史からおさらいしてみましょう(^^)
ゴルフ規則が最初に明文化され誕生したのは1744年。
その頃は全13条からなるものでした。

以下は原文です。

1. You must Tee your Ball within a Club’s length of the Hole.
ティはホールから1クラブレングス以内にボールをおくこと

2. Your Tee must be upon the Ground.
ティは地面にすること

3. You are not to change the Ball which you Strike off the Tee.
プレー中のボールの交換は禁止

4. You are not to remove Stones, Bones or any Break Club, for the sake of playing your Ball, Except upon the fair Green and that only / within a Club’s length of your Ball.
プレーのために石や骨を動かしてはいけない。ただしフェアグリーンではクラブの長さに限り可能
※フェアグリーンが何かを調べたんですが分かりませんでした…。おそらくグリーンのことだと思います。

5. If your Ball comes among watter, or any wattery filth, you are at liberty to take out your Ball & bringing it behind the hazard and Teeing it, you may play it with any Club and allow your Adversary a Stroke for so getting out your Ball.
ボールが池や泥るみに入った場合、取り出してハザードの後方からティ(プレー)することができる。ただしマッチの相手に1打の優位を許可します。
※当時はマッチプレーのみでした。

6. If your Balls be found any where touching one another, You are to lift the first Ball, till you play the last.
2つのボールが触れていた場合、前方のボールを拾い上げて後方のボールをプレーします。

7. At Holling, you are to play your Ball honestly for the Hole, and not to play upon your Adversary’s Ball, not lying in your way to the Hole.
ホールに打つ際はホールに向かって打つこと。ライン上にない相手のボールを狙ってはいけない。

8. If you should lose your Ball, by it’s being taken up, or any other way, you are to go back to the Spot, where you struck last, & drop another Ball, And allow your adversary a Stroke for the misfortune.
ボールが持ち去られたり、何かの理由で紛失した場合、最後にプレーした地点に戻り他のボールをドロップしなければいけない。そしてマッチの相手に1打の優位を許可します。

9. No man at Holling his Ball, is to be allowed, to mark his way to the Hole with his Club, or anything else.
ホールに打つ際はクラブや、何かものを使って目印にしてはいけない。

10. If a Ball be stopp’d by any Person, Horse, Dog or anything else, The Ball so stop’d must be play’d where it lyes.
もしボールが、人、馬、犬、その他のもので止められた時は”あるがままの状態”でプレーしなければならない。

11. If you draw your Club in Order to Strike, & proceed so far in the Stroke as to be e Accounted a Stroke.
もしスイング中にクラブが折れたら1打を付加する。

12. He whose Ball lyes farthest from the Hole is obliged to play first.
ホールから最も遠いボールからプレーする。

13. Neither Trench, Ditch or Dyke, made for the preservation of the Links, nor the Scholar’s Holes, or the Soldier’s Lines, Shall be accounted a Hazard; But the Ball is to be taken out teed /and play’d with any Iron Club.
保護のためにつくられた溝、排水溝、堤防、塹壕はハザードとみなさない。ボールを取り出してティをしてアイアンクラブでうつこと。

という具合です。
現在の法律書のようなルールブックと比べてかなりシンプルですよね。
それにしても読んでいるだけで当時の様子が浮かんでくるような説明ですね(^^)

さて、このように当初はたった13文からなるとてもシンプルなゴルフ規則ですが、現在はなんとプレーの規則だけでも34条まで定められ、120以上の規則があります(^^;
このように定められたルールも、その後さまざまなクラブで独自のルールが制定されるようになり、その後スコットランドのセントアンドリュースにあるR&Aによってルールが統一されます。そしてアメリカに広まったゴルフはUSGAがルールの統括団体となり。そのUSGAとR&Aが1952年から合同して世界中のゴルファーが使う規則として一つにまとめ、1984年にも再度大幅な見直しをされています。その後は4年に1度の見直しを定期的に行われてきましたが、R&AとUSGAは2017年3月に2019年に新たにゴルフルールを見直すことを発表しました。これまでの4年に一度の改定が前回改定された2016年から今回は当初予定していた2020年を1年前倒しての異例の改定になります。

内容を見ると「プレーの進行を早める」、そして「一貫性をもたせ理解を深める」という目的が見えてきます。
例えばプレー進行に関わる代表的なものでは「ボールの探索時間上限を5分から3分に短縮すること」や、「パッティングでピンに当たっても無罰(現行は2打罰)」などがあります。
一貫性を持たせるのに代表的なものでは「ウォーターハザードを一つに統一する(現行はラテラルウォーターハザードとウォーターハザードの2つ)」、「グリーン上の損傷は全て修復できる(現在はスパイクマークなどは不可)」などの規則の変更が予定されています。

ここ数回の改定では道具に関する規定(SLEルール)や、打ち方に関する規定(アンカリングの禁止)が目玉だったのに対して、今回の改定では参加障壁となっている『プレー時間の長さ』や34条まで増えてしまった『ルールの複雑さ』を解決し、ゴルフのさらなる普及を目指し、より多くのゴルファーを創出していこうという狙いが見えます。

ゴルフは長い歴史があるスポーツですが、ご覧いただいたように社会の動きや技術革新に合わせ過去にも何度もルールの改定を行なっています。
保守的で少しお固いイメージもありますが、実はその柔軟性や変化の姿勢も長く続けられる魅力の一つかもしれませんね。
ぜひ今回のルール変更にも注目してください(^^)

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この記事を書いたのは

大矢 隆司

大矢 隆司

1980年7月15日生まれ
15歳で単身オーストラアへゴルフ留学Hills Golf Academyで3年間ゴルフを学ぶ。
その後大学在学中にティーチングライセンスを取得しゴルフコーチとして仕事を始める。MBA(経営学修士)のキャリアも持つ異色のゴルフコーチ。
2005年にGEN-TENの設立。現在はディレクターとしてレッスンプログラム開発と組織運営を担当。趣味はゴルフ旅行(スコットランドトリップアメリカトリップ

ゴルフコーチ(USGTF)
メンタルフィットネストレーナー(NESTA)
ゴルフコンディショニングスペシャリスト(NESTA)
ゴルフフィットネストレーナー(JGFO)

Director’s note」を通じて私達が提供するゴルフコースレッスンというサービスについて1人でも多くの方に興味を持っていただけたら嬉しいです。
ゴルフ&ウェルネスツーリズム「The Golf Retreat」も主宰。
大矢隆司 公式ブログ(takashioya.com)

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