Philosophy of Golf 〜アマチュア資格規則〜

2018年4月8日 |

みなさんこんにちは^ ^
マスターズの決勝ラウンドが始まりますね。
今年はどの選手がグリーンジャケットに袖を通すのか、最後にどんなドラマが待っているのか楽しみですね。
毎年盛り上がりをみせるマスターズトーナメントですが、トーナメントの創設と会場であるオーガスタ・ナショナルゴルフクラブの設計者はボビー・ジョーンズというアマチュア選手だったことをみなさんはご存知じでしょうか?

彼は年間グランドスラム(全英アマチュア選手権、全英オープン、全米アマチュア選手権、全米オープン)を達成するほどの技量を持ったゴルファーでありましたが、生涯アマチュアを貫いた選手の一人でした。1925年の第29回全米オープンのファーストラウンドではアドレスの際にボールが動いたことを自主申告して自らペナルティを課したエピソードは有名ですが、技術だけでな人格も優れていたことからゴルフ界では永年「球聖」と称されています。

今回はゴルフにおける「アマチュア」という点について触れてみたいと思います。
最近においては石川遼選手や小平智選手、勝みなみ選手はアマチュア時代にツアートーナメントの試合で優勝した実績がありますがアマチュア選手がプロ選手に勝利することは稀ではありますね。しかし、近代ゴルフの時代においては、ボビー・ジョーンズのようにアマチュア選手が競技会でプロ選手を差し置いて優勝することは珍しくなく、ゴルフ競技ではむしろアマチュア選手がリードしていた時期がありました。日本オープンの初代チャンピオンは赤星六郎さんというアマチュアゴルファーでした。

「アマチュア」という言葉の出現を調べるとヨーロッパにおいて1784年からであることがわかります。当時はスポーツの中では使われていなく、一般的に言う趣味のような活動という意味で使われていました。その後、1839年の漕艇競技(The Henley on Thames Royal Regatta)の参加規程において、「アマチュア」の文字がスポーツにおいて初めて使われましたが、アマチュアとは誰を指すのか明確な基準はなく、道義上のものであったようです。

ところでみなさんはゴルフがアマチュアとプロフェッショナルをルールで区別する特殊性を持ったスポーツであることをご存じですか?
競技会に出たことのある方や競技規則を最後まで読んだことのある方は知っていると思います。あの「アマチュア資格規則(アマ規則)」です。アマチュア資格規則をざっくり説明すると、プロフェッショナルゴルフの領域を保守する意味合いとアマチュア競技の面白さを低下させない目的で永年堅持され続けてきました。賞金やレッスンによって金銭的授受などでルールに抵触する行為があればアマチュアである資格を失って競技にでれませんよ〜という内容になっています。

私は大学院生時代にこのアマ規則の態度変容について調べていた時期があり、ルールの変遷過程とスポーツにおけるアマチュアリズムのあり方を照らして調べることでアマチュア選手がアマチュアであり続けることの意味について思考を巡らせていました。(いま思えばなんとヒマな大学院生なんだ^^;)

近代においてはスポーツ選手はアマチュアである(スポーツで金銭的な授受がない)ことが美徳とされてきました。その背景には労働者階級のスポーツを競技会から排除する思想があり、現在まで続く近代オリンピックは「アマチュアの祭典」と例えられるほどの競技会でありました。1974年までプロフェッショナルの出場は認められていなく、アマチュアリズムが色濃く残っていた時期がありました。現在の日本においてもアマチュアリズムのレガシーは残っており、実業団でプレーする選手や公的な機関に所属する選手は実態はプロ選手なのに「プロ」と呼ぶことはありません。

このようにかつてはアマチュアであることが社会的に価値があった時代がありました。もっとわかりやすく言うとスポーツを職業とすることは忌み嫌われて、今で言うホワイトカラーな職業でかつスポーツで優秀であることが尊敬される対象になっていました。近年はオリンピック競技会においてプロ選手の出場を容認したのを皮切りにアマチュア規定という概念も過去のイデオロギーとしてみなされるようになりました。

ゴルフにおいては先ほどのアマ規則が誕生したのは1934年にR&Aがゴルフ規則の中で規定したもの(Definition of Professional and Amateur Status)が最初で、全米ゴルフ協会は、1947年にアマ規則を制定しています。それぞれの団体は異なったアマ規則を採用していたため、1952年の英米におけるゴルフ規則統一の際にアマ規則も統一されました。
スポーツ界でアマチュアであることの効力が薄れていったのに対し、現在でもゴルフではアマ規則を維持し続けてきました。そのアマ規則の変遷を追うと社会的な変化とともに多少のルール改定が行われてきたものの初期のアマ規定と大枠は変わらないことがわかりました。外部環境が変わっても元来、ゴルフ競技団体にとってはアマ規則が重要な理念として扱われているということですね。

このようにアマチュアという言葉ひとつとってもゴルフには深い歴史があります。ゴルフは600年もの長い間大衆に愛されたスポーツですがこのような文化特性のあるスポーツは珍しいです。
ゴルフが魅力的なのは単にゲーム性にあるというよりも背景にある豊穣な歴史や哲学が見え隠れするからなのかもしれませんね^^

keisuke

この記事を書いたのは

寺嶋 慶介

寺嶋 慶介

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