パッティングの王道 Vol.1|方向性の鍵はアークにあり — “正しい軌道”を知ることから始めよう

2025年9月5日 |


「まっすぐ動かそう」としていませんか?

パッティングで方向性を安定させたいとき、多くの人がまず意識するのが
「ヘッドを真っすぐ動かすこと」ではないでしょうか?
そのように意識される方が多くいらっしゃいますが、
──実は、ここには落とし穴があります。

体の構造上、パターのヘッドを完全に真っすぐ、一直線に動かすことはほとんど不可能と言われています。
そしてその「不自然な動き」を無理に行おうとすることで、
かえってバックスイングでは、ストロークが外側に上がったりブレてしまうのです。

このような経験がある方は珍しくないと思います。
パッティングにおいても、物理現象と身体的なイメージの差を一致させることが鍵となります。

“ストロークは3つのローテーションで構成されている”


物体が3次元の方向の動きで説明できることを前提に(”6DoF”という概念)、
正しいストロークを理解するには、「ローテーション(回転)」という視点が欠かせません。
パッティングの軌道は以下の3つのローテーションから成り立っています。

フェースローテーション(Face Rotation)

イン・スクエア・インのアークを描く過程で、
フェースはほんのわずかに開き→スクエアになり→再び閉じる動きをします。
パターにライ角が存在している以上、この自然な開閉こそが、方向性の安定に不可欠な動きです。

無理に「フェースをずっとスクエア」にしようとすると、
不自然な手の操作が入り、方向性を崩す原因になります。

「ボールが綺麗に転がらないとか」、「2m以上のパターが入る気がしない」
という方は見直した方がよいローテーションです。

ライローテーション(Lie Rotation)

インパクトに向かう過程でシャフトが傾き、ライ角に微妙な変化が生まれます。
正しい構え方ができていないと、ライローテーションが大きくなり、クラブの軌道に影響を与えます。

ストローク中にこの傾きを変えずにストロークできるかがポイントですが、
経験者ほど手首を固め過ぎて、ダウンスイングではこの角度がアップライトになり
結果、インサイドアウトの軌道が強い方が多くいらっしゃいます。

ロフト(シャフト)ローテーション(Loft Rotation)

パターのフェースは、シャフトリーンを傾けることによっても変化します。
目標側へ倒せば、ロフトが減り(フェースが右を向く)、バックスイング側へ倒すとロフトが増えます(フェースが左を向く)。
ストロークがアッパー過ぎたりダウン過ぎたりすると、ボールの方向に大きく影響を与えます。

上級者のなかで多いのは、
バックスイングの始動でフォワードプレスを過度に行い、
インパクトでフェースが立ち過ぎてダウンブローになっている例です。

この場合、スライスラインも入りづらくなりますし、
真っ直ぐなラインで右に外れるという傾向が多くなります。

正しいアークは「ローテーションを受け入れる」こと


「イン・スクエア・イン」の軌道とは、単なるカーブではなく、
ライ・フェース・ロフトのローテーションの相互作用によって調和した結果の軌道
それが最終的にフェース面の安定、方向性の安定につながります。

チェック&ドリル:自然なローテーションを体に覚えさせる

シャフトガイド・正しいアークをつくる練習

Visio Puttingのパッティングテンプレートを使って、
アークの軌道に沿ったスムーズな動きを確認。
ローテーションを止めずに流れに乗せる意識を。
実際にこのマットを使用して打った場合、打ち出しの角度が非常に安定することがわかりました。

まとめ:自然に任せることで、安定する

パッティングの安定は、「止めること」ではなく「受け入れること」から始まります。
体の構造に沿って、自然に生まれる3つのローテーションを理解することで、ストロークはより再現性の高いものへと進化します。
次回は「距離感」をテーマに、リズムとテンポがもたらす“感覚の再現性”について解説します。

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この記事を書いたのは

寺嶋 慶介

寺嶋 慶介

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ディスカバリーキャンプ at 初穂CC(群馬)

ディスカバリーキャンプ at 初穂カントリークラブ(群馬) 寺嶋 慶介

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