パッティングの王道 Vol.3 「芯」って、どこ?──3mmが変えるパッティングの未来

2025年9月23日 |

「ちゃんと構えられた。
テークバックもまっすぐに引けた。
フェースもスクエアだった気がする。」

それでも、ボールが思ったより転がらない。
カップ手前で止まってしまった。
少し右に押し出したような感触があった。

──そんな経験、ありませんか?

それはもしかすると、「打点のズレ」が原因かもしれません。

“芯”ってどこ?パターの見た目と重心のズレの正体

一般的には、パターにおける「芯」とは、フェースの中で最も効率よくエネルギーが伝わるフェースの打点位置のことを指します。
この芯でボールを捉えると、「少ないエネルギーで効率よくボールを弾く」のが特徴です。

多くのパターには、この“私たちが芯と思っている”の位置を示す「ドット」や「サイトライン」が描かれています。
構えると自然に目線がそこに向かい、この点や線で構えるという基準になります。

しかし実際には──

  • 1.ネックの形状(ベントネック、センターシャフトなど)
  • 2.ヘッドの重量配分(トゥヒールバランス)
  • 3.慣性モーメント(MOI)

といった要因によって、物理的な「重心」と見た目上の中心がズレていることがほとんどです。

つまり、「芯=ドットやサイトラインの位置」ではなく、
ほんのわずかに物理的な重心位置よりトゥ側にドットやサイトラインの位置が示されているのです。


(クラブヘッドの重心位置は、本来当てるべき打点よりもヒール側にある)

本当の“芯”はちょっと先?──3mmが変える転がり

先ほど述べたように、多くのパターには、サイトラインやドットが配置されています。
これが重心位置の延長にあるフェース芯の位置(慣性モーメント上もっともエネルギー効率よくヒットできる場所)とは限りません。

私は、サイトラインやドットから外れたこの位置で打つべきではないと思いますし、エネルギー効率よくヒットできる場所で打つことがパッティングの最適解ではないと考えています。

近年の研究や長年のプロの証言、実際のトッププロを指導するコーチたちの意見では、フェースの見た目上の中心より、わずかにトゥ寄り(3〜5mm程度)で打つのが理想とされています。

「重心よりトゥ寄りで打つことで、ボールは早く順回転に入り、スキッドも短くなる。」
-Paul Hurrion博士(パッティング研究者 / Quintic 創設者) / Putting Research

「すべてのパターの芯がフェース中央にあるとは限らない。むしろ、自分のパターの“最も転がる場所”を探るべきだ。」
-Phil Kenyon(PGAツアー帯同のパッティングコーチ、Visio Putting監修)インタビュー(GolfWRX)

「自分の打点は、フェース中央より少しトゥ寄り。そうすることで、自然にストロークが流れ、ボールがしっかり転がる感覚がある。」
-Tiger Woods : Golf Digest – Inside Tiger’s Putting Stroke

実際、スコッティ・キャメロンやPINGの設計者たちも「パターは“完全左右対称”に見えても、構造上の重心はヒール寄りにある」と述べており、
トゥ寄り3mm前後で理想的な打点になるよう設計していると語っています[GolfWRX Forum, SAM PuttLab資料より]。

これら話や設計意図を統合しても、実際に理想的な転がりを得る打点は、物体上の芯よりも“ほんのわずかトゥ寄り”である可能性が高いのです。

トゥヒットはNG?それとも正解か

極端にトゥ寄りで当たると「押し出し」や「ボールの回転軸の傾き」が生まれ、打ち出しがズレます。

しかし、サイトラインやドットの位置(フェース芯の位置からトゥ側3〜5mm程度)でのヒットは、適切なスキッド距離をつくることができ、ピュアロール(順回転)に入るまでの時間を短縮できるので、

  • ・ボールの転がりが適切になるので距離感が合う
  • ・打ち出しを正確に、かつ真っ直ぐに打ち出すことができる

というようなポジティブな影響があると私は考えています。

スキッドって何?“滑り”が転がりを邪魔する理由

スキッドとは、パット直後のボールの一瞬の滑りのことです。

正確には、
・最初に「スリップ」し、
・次に「スキッド(滑り)」し、
・そして「順回転(ピュアロール)」に入る
という3段階を経ています。


(ボールは打ち出された直後は、すぐに転がらず浮きながら進む)

スキッド距離が適切でないと、転がりの不安定さや距離感のズレに繋がりますので、
結果的には、カップインの確率にも影響します。

ボールの転がりの理想は、「スキッドを適切な距離にコントロールし、そしてできるだけ早くピュアロール(順回転)へ移行させる」ことが必要です。

そのためには…

  • ・理想の打点で捉える(僅かなトゥヒット)
  • ・芝の状態に応じて、ロフトや打ち出し角を適正に保つ
  • ・適度な円弧(アーク)のあるストロークで打つ


(ラインに乗せるように打つには、スキッドの管理と円弧のあるストロークが必要)

このスキッドについては、またの機会に詳しく説明したいと思います。

まとめ:ほんの数ミリの意識が、数メートル先を変える

1.パターは、実際の重心位置の延長上にあるフェース「芯」は、本来捉えるべき『理想的な打点』と一緒ではない。
2.理想的な打点は、サイトラインなどで示されていて、フェースの中心より少しトゥ寄り(3〜5mm先)にある。
3.パターの構造のほか、様々なプロフェッショナルたちの証言や研究から私は、わずかなトゥ寄りのヒットとスイングの円弧がスキッドの距離を最適にし、順回転に移行する時間を早める効果が期待できるという仮説を立てています。

真っ直ぐ引いて、真っ直ぐ当てれば良いという単純な話ではないのがパッティングの面白さだと感じます。
また、今回ご紹介したように少しトゥ寄りの打点がベストだという仮説については、信憑性が高い話だと個人的には思いますが、
本当ににどうなのかはまだ分かっていません。

大事なのは、「芯で打て」と言われても、どこで、何がパターの芯なのかを考えることにあると思っています、
当たり前だと思うことを疑っていくことで、私たちのゴルフのパフォーマンスは確実に伸びていきます。

私は「真っ直ぐ良い感じに打てているのに、なぜか距離や方向が合わない」と悩んだ時期がありました。
でも、今回紹介したような仮説を立ててからは、その説が本当かどうかは分からなくても距離感が安定し、打感も変わったと実感しています。

このVol.3の記事が、あなたのパッティングの再現性を高めるきっかけになりますように。

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この記事を書いたのは

寺嶋 慶介

寺嶋 慶介

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