力を抜いても速く振れる理由 ─サイクロイド曲線で学ぶゴルフスイング

2019年7月21日 |

「力を入れてないのに、なぜか速いスイングってあるよね」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?
実は、ゴルフスイングには“最短時間で到達する自然な動き”があるんです。
それが、今回ご紹介する『サイクロイド曲線』の考え方です。

昨今は、解析機器の進化によってそれまで経験則や感覚に頼っていたゴルフのスイング理論からデータに基づいたスイング理論が主流となってきました。物理の観点からスイングを考えていきたいと思います。

スイングを物理の観点からみるとサイクロイド曲線に沿ったクラブヘッドの動きを実現させることによって飛距離と正確性が生み出せると私は考えています。ゴルフスイングでは、この曲線を利用するメリットがあると思います。

サイクロイド曲線とは?

サイクロイド曲線とは、円を転がしたときに円の外周の一転を繋げていったときにできる曲線のことを言います。
Cycloid animated
引用元:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Cycloid_animated_.gif

このサイクロイド曲線を説明する際に滑り台をイメージした図が用いられます。
この3本線の中で一番早く滑ることができる線はどれかというとCのサイクロイド曲線になります。
1番遅いのはBの直角型の線になります。

少ないエネルギーで最高スピードを生み出す

物体が止まった状態から重力で引かれ落ちるという条件においてサイクロイド曲線は物理において最急下降線という性質を持ちます。つまりゴルフスイングに置き換えるとこの曲線通りに振ることができると最高スピードでスイングができるということです。

トップからクラブを下に下ろしてそこから横に回転するという動きでは下の写真のようになり、物理的に最も効率の悪いスイングといえるでしょう。

同じリズムでスイングが可能

タイガーウッズをはじめ一流プレーヤーのスイングの特徴としてパターからドライバーショットまで同じリズムで振っているという特徴があります。

このサイクロイド曲線はどの地点から物体が引き落とされても同じタイミングで終着点に辿り着くという性質があります。スイングリズムはプレーヤー自らがコントロールしていると考えられていますが、極力腕の力に頼らずこの曲線通りにスイングすることができればどのショットにおいても同じリズムでスイングすることが可能です。つまり自分でスイングのリズムをつくることが軌道に影響を与え、逆効果に働く可能性があります。

サイクロイド曲線を利用したスイングを実現するには

クラブヘッドの動きが円状に動いていることを仮定とするとサイクロイド曲線に沿ってスイングできることが効率の良いスイングであることがわかると思います。それではどのようにその軌道を実現するかをこれから考えていきたいと思います。

①テークバックでの軌道は緩やかに描く
スイング正面の写真では分かりやすように曲線を入れてみました。テークバックでは緩やかな曲線(円よりも外側を描く)でトップの付近では急な曲線にを描くように上がっていきます。

スイングの後方からみるとテークバックが外側に上がっていきます。外側に上がることによって緩やかな曲線を描くことが可能です。

②ダウンスイングの切り返しは急な弧で始まりだんだんと緩やかな弧を描く
ダウンスイングの切り返しは急な弧になるため外から上がってきたクラブが今度はその内側を通りながら切り返しが始まります。

正面からみるとダウンスイングでの軌道は赤い線で描かれた円の内側を通ることになります。これはリストラグやバンプの動作によって実現が可能です。感覚的にクラブヘッドが体の近くを通るイメージが必要でしょう。このような軌道にするにはいかにダウンスイングで腕に力を入れないかが鍵になります。上腕の筋肉が伸長するとダウンスイングで楕円の軌道を描くことができません。

③インパクト以降は大きなフォロースルーに
フォローにかけて軌道が緩やかになります。これはダウンスイングの軌道がインサイドアウトになることによって再現が可能です。ここではフェースのローテーションがあることと力の使い方としてはインパクト以降にクラブを加速させるイメージが必要です。インパクト以降にフォローが大きく取れるようにバックスイングがコンパクトであるほうが向いています。クラブヘッドの最下点がボールの先にいくのでダウンブローの軌道でボールを捉えることができます。

④自分のスイングの特徴を確認する
多くのアマチュアゴルファーの方に共通するのがテークバックとダウンスイングが同じ曲線になってしまうパターンです。結果スイングスピードが上がらずエネルギー効率の悪いスイングとなっていることがあります。ぜひご自身のスイング動画を撮ってその軌道を追ってみることをお勧めします。その他にゴルフスイングを正面からみると円状にしか見えませんが後方(スイングの方向と反対側)からみると円が傾いていることがわかります。この傾きに沿ってスイングされていることが前提となります。そしてフェースのローテーションができていることも条件になります。サイクロイド曲線に沿ってスイングできるとダウンブローにクラブが入りやすくなり、その結果これまでにない強いボールを打てる可能性があります。

まとめ

ゴルフスイング以外にも応用されているスポーツがあり、近年では野球のバッターは打球が高く打ち上が打ち方が主流となっています。大谷翔平選手をはじめメジャーリーガーの野球スイングもこのサイクロイド曲線を利用していると言われています。鋭いスイングは単に力任せしている訳ではなく物理学に基づいた最も効率の良い軌道を描いているスイングといえるでしょう。

まとめるとサイクロイド曲線に沿ってスイングができると物理的に最高のヘッドスピードが生まれるので飛距離が上がる可能性があります。また距離に関わらず同じタイミングでボールを捉えることができるので自分の打った感覚と距離のばらつき減り、弾道のブレも少なくなります。今回はクラブの重心位置やフェースの向き、クラブのローテーション、プレーヤーの身体的特徴、使用クラブの特性などについては触れていません。それらも良いショットには必要不可決な部分です。やはり考えなければいけないのは物理だけではなく、生体力学、工学、スポーツ心理学等あらゆる面が複合された結果、効率の良いスイングやパフォーマンスが偶然に生まれるということです。これをやれば上手くいくといった理論はないことも最後に述べておきたいと思います。

自然界には様々な曲線が存在しますが、曲線美という言葉があるようにきれいなスイングというのはスイングの孤に現れているのかもしれませんね。

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この記事を書いたのは

寺嶋 慶介

寺嶋 慶介

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